たかみめも

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どうやって病院や医師を選べばよいのか ~視力を失わない生き方~を読んで考えたこと

高須賀さん(id:kounotori0305)さんのこの記事を見て気になったので、私も買って読みました。大きい本屋を数店舗回っても売り切れてたのに、近所の中規模の本屋にはなぜかあったという……。

この本ですが、冗長的な言い回し(同じことを何度も伝える点)や独特のクドさはあるものの、内容としては全体的に面白かったです。今回は「視力を失わない生き方 日本の眼科医療は間違いだらけ」の書評、感想と、自分が病院や医師を選ぶ時にふと考えたことをまとめました。

 

医者だからちゃんとした診療をしているとは限らない~書評・視力を失わない生き方~ - 珈琲をゴクゴク呑むように

 

 

本書についての感想

この本は主に以下の2つについてが書かれていました。基本的には医療、眼科知識を少しかじってる人だと理解しやすいのですが、白内障や緑内障といった症状についてのメカニズムなどがわかりやすく図解されているので、一般の人でもわかりやすく読める内容にはなっていました。

 

  • ご自身の事例に基づいた、最近の眼科手術のトレンド
  • 眼にまつわるおかしい点、ダメな点とその理由

 

この本では眼科手術の最新のトレンドを筆者が謳っているように感じましたが、どちらかというとここ昨今のトレンドについて書かれているように感じました。*1

とは言え、医師を含む医療従事者でなければ、治療の方法など当事者にならないと知る由もないことだと思うので、「へー、最近の眼科手術ってこんなことをするんだ」ということを知ることができるでしょう。

 

また、「眼についてみんなが勘違いしていること」を医学的な根拠をもって説明をしている部分が多かったです。コンタクトレンズなどといった我々の生活に関連したものを取り上げられてますし、「えっ、こういうのってダメなんだ」という意外なことを知ることができる本でもありました。

 

何より「眼は唯一のむき出しの臓器だ」ということを強く言っていることが印象深かったです。こういう眼科のトップアスリートから素人である私たちへ伝えたいことを伝える熱意を感じました。

 

(一部追記)ブコメで眼科が糖尿病専門医でもないのに…という勝手な発言があったのですが、眼科には糖尿病網膜症という病気もあり、糖尿病と眼疾患には相関関係があることを言っておきます。

 

閑話休題:緑内障と眼圧

最近はてなブログをはじめられた鈴木信也さん(id:shinya_sheep)が眼科へ診断に行ったら緑内障と診断された、というのが記憶に新しいです。

現在は点眼薬で眼圧を下げており、眼科が言う正常眼圧まで下がったそうです。(参考記事:緑内障 高眼圧治療薬を投与して一週間 - ひつじのブログ)

 

一方で、この本では日本人は眼圧が高くなくても緑内障になるリスクが高いこと、眼圧を下げても緑内障はじわじわと進行することを指摘していました。

日本人の眼圧についてこの本と同じことを仰っている先生がいたので以下に紹介します。角膜の厚みは外国人に比べ低く、眼圧計の値が低めの結果が表示されるそうです。

眼圧検査は角膜に空気やチップを当てた時に凹む量から眼圧を測定していますので、角膜が薄い人は眼圧が高くても眼圧計の値が低い目に測定されてしまうのです。

ある奈良県の眼科医が目について書いたブログ : 眼圧が正常でも安心はできない。日本人の緑内障の90%以上が正常眼圧緑内障で、日本人は海外と比べ圧倒的に正常眼圧緑内障の有病率が高い。その理由は?

 

鈴木さんの場合は正常眼圧に戻ったとはいえ、眼圧が真に問題ない領域まで下がったかどうかはわからないですし、一部視野が欠けているところもあるので、眼圧の上昇の再発、これ以上の緑内障進行はぜひとも避けたいはずです。

今後、鈴木さんが経過観察のままでいくのか、別の処置を行うのかはわからないですが、これ以上緑内障が進行しないことを祈りましょう。

 

病院選びのための考え方

で、ここからが本題。

この本を読んで思ったこととしては、「我々一般人は医療に関して思っている以上に無知ではないか」ということを改めて感じました。とは言え、医療従事者である高須賀さんですら以下のように言っています。

「どこの病院がいいの?」

この質問をされた事がある医者は多いだろう。僕も時々される。けど現実問題、この答えに適切に答える事は非常に難しい。だから正直な事をいうと上の質問に関しては「僕でもわからない」としかいいようがないのが現状だ。

(高須賀さんの先述記事より)

 

なので、実際の私の実例も踏まえて、病院や医師の方を選ぶときに考えた「ごくごく当たり前のこと」を以下に綴ります。

 

病院選びでの自分の失敗

この話をするにあたり、私が今行っている歯の治療についてのお話から。

学生時代に治療した歯が久々に痛みだしたので、家の近くの歯医者へ通うことにしました。そこで歯のレントゲンを撮ったのですが、私が痛いと言っていた歯には虫歯の影は写っておらず、医師の方も「ここは問題ないね」とスルーされてしまいました。

実際に歯が痛いので、「ここの歯が痛いんですけども」と再度伝えても、「レントゲン上は問題ないからねぇ」と流された歯がありました。

 

そんなことがあってこの歯はしばらく放置していたのですが、最近同じ場所が痛みだしたので、会社の近くの歯医者に通い直すことにしました。

レントゲン上は前の歯医者と同じだった(虫歯は写っていなかった)のですが、今行っている歯医者で「ここの歯も痛い」ことを前回以上に強く伝えると、「レントゲン上は問題ないが、とりあえず詰め物を取って中を確認してみようか」という話になり、検査をしてもらうことにしました。

結果は詰め物の中から虫歯が進行しており、神経までボロボロ。結果として根幹治療をすることが決定しました。幸いにも歯を抜くことは回避できたのですが、あの時もっと強く訴えていれば神経は残せていたのかもしれませんでした。

 

自分の意思を、強く伝えること

この一件から、困っている場合は医師へ強く意思表示をしっかりとする必要があると感じました。専門家と素人では知識量の差は大きいため、自分が相手の医師に対して「どうしてほしいか」、「何が困っているのか」を正確に、強く伝える必要があります。*2

 

わからない、心配なことは聞く

先にも書きましたが、専門家と素人では知識量の差は全然違います。なので、わからないことは何でも聞くことがよいと思っています。素人ながらそう思った理由は以下の2つです。

 

ひとつめは自分の症状についてや処置の内容、処置の結果がどうなるのかなどを正確に知ることが出来ます*3。もちろん医師の方は必要なことは質問せずとも教えてくれるとは思いますが、聞いてもわからないことや踏み込んで聞いたほうがいいかなと思うことはどんどん聞くべきでしょう。

 

もうひとつは、自分がわからないことを聞いたときに医師の方が真摯に答えてくれるかどうかを判断することも、ある程度可能かと思っています。信頼の構築です。

今回紹介した本でも医師の方が高圧的な態度を取るなどといった描写を見かけたのですが、こういう医師の方に当たることを避けるためにわからないことや心配に思ったことは聞くのがよいと思います。特に手術などを控えているのであれば尚更でしょう。

 

さいごに

病院選び、医師選びはとても難しいです。結局のところ自信の利便性を考慮して選ぶことがほとんどでしょう。

その中で自分が大丈夫だと思える医師に当たるには、「自分の状況、意思をきちんと伝え」、「分からないことはしっかり聞き、医師の対応を見定める」ことだと思います。ダメならダメで病院を変えるなどの対応を取るのもアリでしょう。

 

よくよく考えてみたら普通に生活する上で必要なスキルのように思えますが、そのスキルが病院や医師を選ぶ時には何よりも大切なのではないでしょうか。知識以外に求められるスキルというものは思っている以上に共通化できるものかもしれません。

 

さいごに、この本を読んで改めて自分たちが良い医療を受けるにはどうすればいいかを考えるいいきっかけになりました。興味があれば一度読んでみてはいかがでしょうか。眼科に関する病気や手術についても知ることができますし、思っている以上にさらっと読めますよ。

*1:網膜剥離について、この本ではバックリング法を否定されているようでしたので、手元にあった眼科の本を確認したところ、そこにはバックリング法がメインの治療法として太字で書かれており、硝子体手術については「最近では多くなっている」と記載されていました。

*2:もちろんですが暴言などはNGです。暴言を振るう人には医師側もマトモに相手はしないと思います。

*3:医師の方がきちんと教えてくれる人であれば、ですが