たかみめも

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水虫の治療にカビキラーは危ないので、早く医者に行ったほうがいい話

先日の大雪のときに靴の中が蒸れ、そのときにどうやら白癬菌をもらってしまったようです。あれです。俗にいう水虫ってやつです。水虫って本当にかゆいの。これがまた信じられないくらいかゆくて、さすがに皮膚科に行かないといけないかなぁなど考えていた矢先、私の目に飛び込んできたのがこいつ。

 

カビキラー先輩「チーッス」

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白癬菌もカビの一種だからカビキラーで死滅できそうだよなぁ、こいつ強力タイプだしなぁ……などと思ってとりあえずネットで情報収集することに。載っていた記事には「カビキラーで水虫撃退できました!」という意見と「危ないから使わないでください」という意見が割と半々くらい(危ないという意見の方が若干多め)。どっちやねん。

 

お客様、いけません!水虫の場所にカビキラーなんていけません!!」なんて言いながらスプレータイプのカビキラーをぶっかけてブログのネタにでもしようかなとも考えたのですが、カビキラーをかけることによる悪い影響が出てしまうと嫌だなぁなどと思い、含まれている成分がどれだけ人体への影響を及ぼすのかを考えて、使っても大丈夫かどうかを自分なりに判断してみました。

 

 

カビキラーの成分表

 まずはカビキラーの成分を調べることに。出来ればMSDS(安全データシート)があれば詳細の成分が記載されている可能性があるのでよかったのですが、残念ながらジョンソンアンドジョンソンのHPを見てもこれ以上の情報しかありませんでした。仕方ないので、この内容から効果的かどうか、リスクがあるかどうかを考えることにします。

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成分の中で水、界面活性剤、安定化剤は基本的に人体への影響はなく、単なる洗剤としての効果がある程度と考えられます。今回調べないといけないのは「次亜塩素酸ナトリウム」と「水酸化ナトリウム」の2つについてです。

 

次亜塩素酸ナトリウムの効果と危険性

次亜塩素酸塩がカビに効く成分とよく言われています。残念ながらMSDSが存在しないため、カビキラーに含まれている次亜塩素酸塩の量はわからないですが、以下の情報を見る感じだと次亜塩素酸ナトリウムが2.5~5%程度含まれているとのこと。

http://www.umin.ac.jp/chudoku/chudokuinfo/a/a051.txt

 

次亜塩素酸ナトリウムがどの程度菌に効くのかという情報は以下のサイトに記載されていましたので、その部分を抜粋します。

通常、一般細菌や酵母は濃度が0.01~0.1%(100~1,000ppm)の次亜塩素酸ナトリウム水溶液に20秒~10分、結核菌は0.1~2%(1,000~20,000ppm)の水溶液に10分~30分浸せば死滅する。また、枯草菌の芽胞は0.01%(100ppm)の水溶液に浸せば、5分以内に99.9%が死滅するとされている。

6. いまさら、でも大切な『次亜塩素酸ナトリウム』について | A&T

 

一般的な菌に該当する(と信じたい)白癬菌であれば、濃度が0.1%の次亜塩素酸ナトリウムで死滅するらしいので、滅菌効果は問題ないはず。ただし問題となるのは「白癬菌以外の菌」についてもあわせて死滅させてしまうこと。足の皮膚にももちろん常在菌はおり、古い皮膚や角質を栄養源にして弱酸性の脂肪酸を作ることで皮膚表面を酸性にし、外部から来る悪性の最近から守ってくれるようなものもあります。これらの菌もあわせて死滅させてしまうため、次亜塩素酸ナトリウムで全ての菌を死滅させるのはちょっとよろしくなさそう。

また、次亜塩素酸ナトリウムは皮膚炎を起こすとも示唆されています。以下は次亜塩素酸ナトリウムのMSDSですが、腐食性が強く、皮膚に付着した場合は皮膚を流水、シャワーで洗うこととされています。もちろん次亜塩素酸ナトリウムの濃度にもよりますが、長い間皮膚に浸透させてしまうと皮膚炎になる可能性も高そうです。カビキラーはスプレーしてから大体5分くらいは漬け置きをするよう記載されているので、その5分の間に皮膚がボロボロになると予想されます。

製品安全データシート MSDS 次亜塩素酸ナトリウム(次亜塩素酸ソーダ) | 化学薬品 工業薬品 食品添加物・食品 試験薬品(試薬)の販売/製造/OEMの内藤商店[愛知県|名古屋市]

 

カビキラーの極性(水酸化ナトリウムの危険性について)

カビキラーには裏面に「アルカリ性」と記載されていますし、ネット上では大体pHは12とか13とかという表記を見るのですが、どうも確実なソースではないですし、実際にその情報が正しいのかもわかりません。

あまりにもpHが高すぎると人体へ影響が出てしまう(アルカリ性のものはたんぱく質を溶かすため皮膚が溶ける)ので、カビキラーを使ってしまった結果肌がボロボロになってしまうことも考えられます。ちなみに石鹸はpH9程度であり、この程度のpHでは人体へ多大な影響は及ぼさないですが、pHが1変わるとアルカリ強度(水酸イオンの量)は10倍になるため、pHが高ければ高いほど人体への影響ガ大きくなります。

 

水酸化ナトリウムの濃度からpHを計算する

記載されている水酸化ナトリウムの濃度は0.5%でした。つまり1Lの水に対して5g入っています。pHを計算するためには重量パーセントではなくモル濃度が必要なので、上記の情報を踏まえモル濃度を計算すると0.125mol/Lになります。ここからカビキラーの水酸イオン濃度[OH-]が0.125mol/Lであることがわかりました。

 

次にpHの計算は以下の計算式より計算できます。

 pH =-log[H+]

また水のイオン積は水素イオンと水酸イオンは次の式で与えられます。

 Kw=[H+]×[OH-]=1.0×10^-14(mol/L)

 

先ほどの水酸イオンの濃度から[H+]が1.25×10^-13と算出でき、その対数を求めることでpHが計算されます。計算の結果、カビキラーの濃度は約13.1であることがわかりました。

 

この濃度の時のpHを量る

計算だけでは説得力に欠けるので、pH試験紙にカビキラーをかけてみて、pHがどれくらいかを見てみました。かける前(写真上)と後(写真下)のpH試験紙の写真はこちら。だいたいpHが13くらいを指していそうだとわかりました。確か一番左のアザーリンイエローが反応してオレンジに変わっているので、pHは12以上(のはず)なので、先ほど計算したpH13.1に近いところではないでしょうか。

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水酸化ナトリウムの危険性

カビキラーのpHが大体13であることはわかりました。pHが13くらいの強アルカリを示すと指の指紋が消える恐れがあるため、脚部に長い時間浸透させてしまうと皮膚の表皮が薄くなり、皮膚深部にもカビキラーがいきわたりやすくなるでしょう。皮膚深部にカビキラーがいきわたると、次亜塩素酸ナトリウムの効果により皮膚内部から炎症を起こし、水虫治療どころではなくなります。そもそも水酸化ナトリウムだけで皮膚が弱くなってしまう上、界面活性剤と混ざることで洗浄力が強くなってしまうため、皮膚への影響は倍プッシュ。カビキラーを皮膚にかけて浸透させるのは正直危ない気がしてならないです。

ちなみにpHが13くらいの緩衝液にて、危険有害性情報に皮膚刺激ありとの記載がありましたので、あわせて記載しておきますね。

Buffer Solution pH13.0 (KCl-NaOH) | 東京化成工業株式会社

 

結論:カビキラーはやめたほうがいいですね

次亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウムの情報を自分なりに調べ、危ないからやめておこうという結論に至りました。俺は皮膚が強いから大丈夫だとか言っている人ほど危険ではないかと思っていますので、ヘタな真似をせずさっさと病院に行ってくださいね。

 

 

白癬菌に効く薬(ルリコン)とその薬効

ちなみに白癬菌に効く薬としてよく処方されるのが「ルリコン」という軟膏。ロリコンじゃないよ!!

効能としては、「白癬菌が繁殖するのを防ぎ、徐々に菌の数を減らすことで死滅させる」ものです。カビキラーのような直接菌を殺すようなものではなく、白癬菌の構成成分が作られる過程を阻害し、それ以上繁殖させないようにするものです。皮膚炎になる可能性ももちろんありますが、薬剤による皮膚荒れは発生しないため、カビキラーに比べて相当安全な薬です。

ルリコンについては以下のサイトで詳しいことが書いてありますのでこちらをご参考ください。専門的な言葉が多いので、ざっくり読み飛ばしてよいとは思います。

ルリコン(ルリコナゾール)の作用機序と副作用|抗真菌薬 | やさしい薬の説明書

 

まとめ

最初は数分なら大丈夫だろうとお風呂場でカビキラーを足にぶっかけようとも考えたのですが、色々と考えたり調べる過程でだんだん怖くなったのでやめました。行けるタイミングで皮膚科に行き、靴の蒸れなどを解消してさっさと治すのが一番だと思います。 

水虫になったときにカビキラーを使ってしまうと長期的な治療を強いられる可能性が高くなりますので、水虫だなと思ったら横着せずにまず病院に行って薬をもらうことです。薬剤って結構危ないもの多いから、「自分で判断せずまず医者に診てもらえ」と言って締めくくります。

 

追記

今更ながら皮膚科に行って診察してもらったので、そのときの先生とした話を以下に書き記します。

 

水虫を治すための時間・・・・・・

治療をされている方ならご存知だと思いますが、水虫は角層に潜んでおり、アカとなって出てくるまで1~2ヶ月掛かります。そこから1ヶ月以上薬を塗り続けてやっと完治です。角質が取れても若干白癬菌が残っていたら、温度、湿度の変化でまた増殖するためです。

そのためカビキラーで菌を殺しても、角層に菌が残っていればそこからまた繁殖します。カビキラーによる特効薬的な効果(痒みが収まったなど)はあっても、完治せずまた発症する可能性が高いです。

 

そもそもカビキラーとか使っていいの?と聞いた結果

結果はわかってはいるものの、診察中にあえてこの質問をしてみたところ、ドSの先生(女の先生)に「バカなの?」と一蹴されてしまいました。そりゃそうですよねー。

 

改めてになりますが、「水虫になったらまず医者に行け」というのが本記事の結論です。自分で治そうとするよりまず医者の診察をしてもらうことが一番ですよ。