けものフレンズ11話で感じたストーリーのよさ
けものフレンズの11話を見ました。見た後に何とも言葉が出てこなかったので、体調が悪い中1話から改めて見返しました。一通り見返した後での私の感想として、考察だとかそういう話を抜きにしてアニメとしてどう感じたかをつらつらと書き残したいと思い、ごりごりと感想を書くことにしました。(あくまでアニメ11話単体としての感想です)
最終章としてのよさと困惑(進め方の観点)
11話は最終章に向けて、今まで散りばめられていた伏線をすっと回収しつつ、シリアス方面にうまく舵をきった、そんな話のようでした。
クライマックスへの導入
11話ではOPがなく、セルリアンとの対峙シーンからスタート。今までの導入部のように移動シーンから入り……というわけではなかったところから今までにない不穏さがありました。
また、アライさんとフェネックさんが11話序盤でようやくかばんちゃんたちに追いつきましたが、何かの意図、理由をもってかばんちゃんを追いかけていた彼女たちが合流することで「クライマックスが近づいていること」を誰の言葉を使うことなく表現しているようでした。
このあたりの入りのうまさ、丁寧さは11話で特にいいなと感じました。
今までの不穏さと11話のシリアス話
11話では今までとは違いシリアス一辺倒な話となりましたが、今までラッキーさんに録音されていたミライさんの発言など、かばんちゃんたちの辿った道筋からシリアスなシーンとなることは予想できたはずです。物語当初から感じていた『不穏な雰囲気』というものが回を重ねるごとに積み重なってきたところで11話に到達した、と私は考えています。
設定の情報過多に少し困惑する場面も
11話で出てきた黒いセルリアンとサンドスターロウ。そして四神などの情報。セルリアン自体の情報が曖昧な状態でこれだけの情報をさらに加味してくるところは少し困惑した、というのが率直な感想です。
10話で「サンドスターは複数種類ある」という話が出てきたり、アライさんがハカセと会った時に四神の話が出ていたりと、それぞれの設定はいきなり発生したものではないのですが、急にどっと出てくると「こんな設定あったっけ……」と困惑を隠せない感じが否めませんでした。
とは言え、ストーリーの大筋の流れとしてはこのようなことを気にしなくても楽しめる、いいものだったように感じました。
1話でのふたりの出会いから……
11話の見どころとしては、かばんちゃんとサーバルちゃんが、お互いにお互いのことをかばい、助けようとしたところではないでしょうか。
「ジャパリパークの掟は自分の力で生きる事。サーバル任せじゃだめよ」
この言葉は、1話でカバさんがかばんちゃんにアドバイスをしたものです。もちろんサーバルちゃんはジャパリパークの掟は知っているはずです。*1
そんな彼女たちが一緒に戦い、お互いがピンチになったときに自分の身を挺して助けに行くシーンを見て、これが『ジャパリパークの掟よりも友情や信頼が勝った』瞬間だったなぁと感じたわけです。特にかばんちゃんがサーバルちゃんを助けるシーンが木登りだったので、なおぐっときたわけで。
私としてはふたりの関係性がこの11話までの旅路の中で形成され、このシーンに至ったと感じています。
みらいさんとサーバルちゃん
9話、10話でみらいさんと話していた(先代と思われる)サーバルちゃん。このサーバルちゃんと今のサーバルちゃんの違い、そして先代もかばんちゃんと同じようにパークのためにセルリアンたちと戦っていたとも考えられます。そうすると、先述した「友情」という言葉だけでは表しきれないようにも感じています。
この真意が最終回に明かされるのかも気になるポイントになってくるでしょうか。
たつき監督を信じるか
「たつき監督を信じろ」
11話放送後、この言葉がたちまちどっと拡散されましたが、個人的には信じる信じないはともかく、「どんな結末にしろ、どういう結末を迎えるかが楽しみ」という感想になっています。
そのもととなっているのが、インタビュー内にあった以下のコメントです。このあたり、最終回を見た後にたつき監督にこの流れとこの発言の意味について聞いてみたいところですね。
個人的に「けものフレンズ」は劇薬のようなものを排除した作品だと思っているんです。異物がいきなり登場したり、誰かの死を描くような作品ではないので、ちゃんとキャラクターの中身を考えてていねいに描かないと、お話としての波が出にくいんですよ。観てくださる方に、ちゃんと物語の上下感を楽しんでもらえるよう、その部分には注意するようにしています。
この言葉の通りになることが一番なのですが、どういう結末であれ晴れ晴れとした気持ちでこのアニメを見終われるといいなと思っています。
でも福原Pだけは信じちゃいけないんだぜ……。
でもこのプロデューサーだけはまだ信じちゃダメだぜ。#けものフレンズ https://t.co/iwbaK2DD1K
— 大石昌良【オーイシマサヨシ】 (@Masayoshi_Oishi) 2017年3月21日
*1:ちなみに1話ではセリルアン戦でカバさんが助けてくれるシーンもありましたが、彼女は「今回限り」だと言っています。なのでこのシーンは例外と考えてよいでしょう