なぜカフェでアイスティーを頼むとアールグレイが出てくるのか
先日、たまたま外出の用事があったので、外出先へ向かう前にベッカーズで紅茶を飲むことにしました。
ベッカーズのアイスティーはそこまで紅茶の香り、味が出ているわけではないですが、雑味が少なくスッキリ飲めるので、ハンバーガーと合うなぁと感じました。
というのがベッカーズで飲んだ紅茶の感想なのですが、実はベッカーズではアイスティーを頼むのは初めてだったので、最初は少しビクビクしながら紅茶を飲んでいました。
その理由は「アイスティーを頼んだら、割と高確率でアールグレイが出てくるから」です。アールグレイ自体は嫌いじゃないですが、料理にあわせてアールグレイが出てくると個人的にげんなりすることが多い(普通の無糖、無香料のストレートティーが飲みたい)です。
そこで、今回はファストフードチェーン、カフェチェーンでアイスティーを頼んだ時に何が出てくるのかを調べ、またその理由について少し考えてみます。
[前提] アールグレイとは
まずはアールグレイとはどのような紅茶なのかについて簡単に説明をしておきます。
アールグレイは、もともとは「キーマン」という茶葉*1に「ベルガモット(オイルなど)」を着香させたフレーバーティーですが、最近ではキーマンに限らず茶葉にベルガモットオイルで着香した紅茶を総称してアールグレイと呼んでいるように感じています。
歴史に関しては様々諸説あるそうです。話をし出すと本説から外れるので割愛しますが、過去に磯淵先生が過去にこの著書でアールグレイとラプサンスーチョンとの関係について書かれているのを思い出しましたので一応紹介をしておきます(ここで氏の書物ではラプサンスーチョンと書いていることもあり、キーマンという説と食い違っています。この点も含め諸説が色々あるそうなのですが、どれが正しいかは不明) この本は紅茶の歴史をさらっとさらうには面白い読み物なので、一度手に取ってみるとよいです。私もまた今度読もう。
アールグレイを出してくるお店
まずはファストフード、カフェチェーンで「アイスティー」を頼むと何が出てくるのかをHPの情報から調べました。本当はチェーンのパスタ屋なども含めて調査をすべきかと思ったのですが、量が膨大になりすぎて収集がつかないので、今回はハンバーガーチェーンなどのファストフードとカフェチェーンの一部に絞ってアイスティを頼むとどのお店でアールグレイが出てくるかを調べました。
ハンバーガーチェーンなどのファストフード
ファストフードだとマクドナルドでアイスティーを頼むとアールグレイが出てきます。なおマクドナルドはアイスティーという表記ではなく「アールグレイ アイスティー」とアールグレイであることを明記しています。
アールグレイ アイスティー(M) | メニュー情報 | McDonald's
以前話題に取り上げたモスバーガーはアイスティーもセイロンティー(キャンディブレンド)としており、他のファストフードとは一線を画しています。*2
プレミアムアイスティー キャンディ茶葉(レモン/ミルク) | ドリンク/スープ | モスバーガー公式サイト
フレッシュネスバーガーではアイスティーはダージリン100%とのこと。マクドナルドなどに比べて単価は少し上がりますが、その分紅茶についてもこだわっている様子。そもそもフレッシュネスバーガーはハンバーガーショップながら飲み物のラインナップは他に比べて多く、カフェとしての利用もいいんですよね。
(株)フレッシュネス|MENU|オーガニックティー ORGANIC TEA
ケンタッキーやロッテリアについてもマクドナルドと同様にアールグレイが提供されたよう記憶しているのですが、HPにはアールグレイという記載がなかったのでこの程度の表記としておきます。
ハンバーガーチェーンではマクドナルドがアイスティーとしてアールグレイを提供しているようですが、各チェーンによって提供しているものはまちまち。食事がメインとなるファストフード店相手だと、香りの強いアールグレイと食事との相性が悪いのかなぁという感想を抱きました。
カフェチェーン
カフェだとドトール、エクセルシオール、タリーズ、上島珈琲店がアイスティーとしてアールグレイを提供しているよう。ドトールについてはカフェ提供のメニューにはアールグレイとは書いていないのですが、市販されているパックの紅茶がアールグレイのようなので、店での提供のものも同じで間違いなさそう。
商品情報 | Tea ビバレッジズ | 水出しアイスティー | TULLY'S COFFEE
アイスティー(ストレート・レモン・ミルク) | 上島珈琲店 - 美味しい街カフェ
プロントはアールグレイとは書いていないのですが、「天然由来のナチュラルなベルガモットフレーバーにレモンピールとコーンフラワーペタルをブレンド」と書かれており、アールグレイに近いものを提供しているようです。レモンピールなどを一緒にブレンドしているので、アールグレイよりも「トワイニングスのレディグレイ」に近いのではないかと思っています。
アイスティー|カフェドリンク|メニュー|PRONTO -プロント-
ちなみにレディグレイについてはトワイニングスのHPをご参照ください。個人的にはアールグレイよりこちらのほうが好きです。
レディ グレイ | トワイニング紅茶 TWININGS TEA TIME
コメダ珈琲店はアイスティーではアールグレイであることを明記されていませんでしたが、ティーフロートに使われている紅茶がアールグレイと書かれていることから、同様にアイスティーもアールグレイで間違いないかなと思っています。
サンマルクはHP上の記述では「口の中もさっぱり爽快になる香りの良いアイスティー」としか書いていなかったのですが、以前に飲んだ時にアールグレイだったように記憶しています(記憶違いかもしれません、詳細を知っている方がいましたら教えてください)
サンマルクカフェ - Saint Marc Holdings :: ドリンク
スターバックスはアイスティーはアールグレイでなく香料なしのブレンドティーを提供しているようです。「パッション」という商品でアイスハーブティーを提供していますが、ブラックティーは香料なし。他のカフェと同様アールグレイの提供をしているのかと思ったのですが、どうやら違ったようです。
ベローチェはアイスレモンティーとルイボスミントティーというちょっと変わったレパートリーで、無糖、無香料の飲み物はなさそう。というかアイスでレモンティーとミルクティーがあるのに、何でストレートティーがないのかは不明。
アイスドリンク|カフェ・ベローチェの商品|株式会社シャノアール
9つのチェーンのうち、7つがアールグレイ(もしくはそれに類似したもの)をアイスティーとして提供をしているよう。
カフェでアイスティーを頼む人をそこまで見ることは多くないですが、お茶をする場であるカフェチェーンでは紅茶単体で頼むことも少なくないため、すっきりしていて飲みやすいアールグレイのような紅茶が女性を中心にウケているのかなと感じ、またアイスティをアールグレイとして提供するカフェが多いのも女性客がこういうアイスティーを好んでいると見込んで提供しているのかとも感じました。
(あくまで個人的な感想です。正直なところ、お店側の意見を聞いてみたいと思っています。)
コンビニ
ここ最近はコンビニでもコーヒーと同様に紅茶の提供もしています。
その中で、ローソンのはアイスティーとしてアールグレイを提供しています。セブンイレブンとファミリーマートはアイスティーの提供はなし。今後セブンイレブン、ファミリーマートでもアイスティーの提供が始まったときにどの紅茶が提供されるのかが気になるところです。
アイスアールグレイティー/マチカフェ MACHI café│ローソン
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なぜアールグレイなのか
香りを補える
アイスティーにすると、ホットティーに比べて紅茶の香りが弱くなりがちですが、アールグレイのような強い柑橘系の香りを補完することでアイスティーでも爽やかな香りを楽しむことができます。このいい香りが女性にウケているのでしょう。
スターバックスでもシンプルなブラックティーの他にアイスハーブティーを提供しており、女性客への支持を得ようとしているのではないかと思っています(なおスターバックスはホットでアールグレイを提供しているのですが、今回はアイスに限った話なので割愛)
余談ですが、私がたまに行く紅茶専門店では夏場にハーブティーを頼むと、氷がたくさん入ったグラスとハチミツが一緒に出して頂けるので、香りよいハーブティーをアイスで頂くことも可能です。こういうのが女性ウケするんだろうなぁ……。
渋みが少なく、すっきりしている
アールグレイに使われるキーマンといった中国産の茶葉はインド、スリランカ産の茶葉に比べ渋みが少なく、かすかなスモーキーな香りと甘味を楽しむことができます。そのため、他の紅茶に比べ舌に感じる渋さが少なく、ベルガモットの香りとの相性がとてもよいです。「渋いのは苦手だなぁ」という女性でも、渋みの少ないアールグレイなら飲みやすいから、アールグレイを提供するカフェが少なくないのかなと思います。
一応ですが、紅茶の成分について調べたという論文の中にタンニンに関する記述があったのであわせて掲載しておきます。この中で中国産の茶葉(ラプサンスーチョン、キーマン)は他の産地の茶葉に比べてタンニンの量が少ないことがわかっています。
有識者の方からのご意見
紅茶に詳しい方にこの話についての質問をしたところ、「柑橘系の爽やかな香り」という点、「タンニンが少なく濁りにくいから綺麗な水色になる」という2点ではないかとご意見を頂きました。香り、タンニンに着目したところは間違っていなかったようでした。
まとめ
ハンバーガーチェーンなどのファストフードの場合はアールグレイでないお店も少なくありませんでした。食事を主軸としたハンバーガーチェーンでは、食事と一緒に飲みものを頂くことが多いため、アイスティーとしてアールグレイを選択しない企業も少なくないのかな。
一方で、カフェの場合はお茶をすることが主軸であり紅茶単体で注文をすることも少なくないため、渋みが少なく、香りがしっかりしていて飲みやすいアールグレイが女性にウケているのかと感じました。そのためカフェチェーンではアイスティーを頼むとアールグレイが出てくることが多いのかなという考えに至りました。
このように、お店の形態によってアイスティーの提供をうまく変えているような印象を受けました。今回はハンバーガーチェーンのようなファストフードとカフェチェーンに絞って話をしましたが、パスタ屋のチェーンなども含めて再調査してみるのも面白いなと感じました。
さいごに「アイスティーがアールグレイだったらそう書いててほしいなぁ」と感じつつ、この話を締めさせていただきます。