たかみめも

アニメ、ゲームの話や紅茶の話など、日々気になったことをだらだら書いてます

アニメ原作に忠実であるべきか、現実世界に沿うべきか (あまんちゅ!7話のとある描写より)

「アニメは原作に沿うべきかどうか」という議論は、色々なところで取り沙汰されるのをよく見ます。私も「何でこのアニメは原作からこんなに乖離しているんだろう」などと感じることもしばしばあります。

また、「原作通りなんだけど、現実世界だとあり得ないだろうなぁ」といった世界観や描写を見かけることも。

 

今回は、少し前に放送された「あまんちゅ!」の7話を見たときにそれが顕著に出てしまったシーンがいくつかあったので、アニメ内の2つの描写を例にお話をします。

※これ以降は文字の見やすさを加味し、「あまんちゅ!」を「あまんちゅ」と書きます。

※なお、あまんちゅのドライスーツやタンク等の構造については「普通じゃあり得ない」というご意見をダイビング関係の人間から頂いていますが、今回はダイビングシーンではなくあまんちゅの日常シーンからチョイスします。

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自身のスタンス

この話をする上で自分のスタンスを先に明示しておきます。

 

  • 完全に原作に忠実でなくてもよいと思っている
  • むしろ原作をうまく調理してくれるといいなと考えている
  • ただし、根幹(キャラの設定など)を揺るがす改変は正直頂けない

 

原作に忠実である必要はないと思っています。アニメには原作では表現しきれない部分を補完する力があると私は思っています。既に、今期の甘々と稲妻やあまんちゅでは原作で描かれていなかった部分をアニメでうまく表現しています。

一方で、「飛影はそんなこと言わない」おばさんレベルではありませんが、原作ではあり得ないようなキャラの言動には私もちょっとガッカリします。最近だとくまみこの最終回とかがそうでしたね。ちなみにくまみこ最終回はBD、DVDでは改変されていると聞いており、ちょっと気になっています。

 

くまみこ最終回に関して書いた記事はこちらから

くまみこ最終回(オリジナル改変)について個人的に感じたこと - たかみめも

 

本題

前提(あまんちゅの舞台、キャラ)

まずはあまんちゅの舞台を探るため、あらすじを記載しておきます。

 

春。物事が大きく移り変わる既設。伊豆の町で生まれ育った小日向光と、東京から引っ越してきたばかりの大木双葉は、ともに夢ヶ丘高校に入学し、運命的な出会いを果たす(略)

 

http://amanchu-anime.com/story.html 「あらすじ」より

 

伊豆、東京という固有の地名が出ているので、ARIAの「ネオ・ベネツィア」のようなものではなく、普通の日本が物語の舞台となっています。「ネオジャパン」だったらGガンダムかよとツッコミを入れる予定だったのですが、残念ながら何の変哲もない普通のジャパンでした。

 

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あとは天野先生作品でよく出てくる謎の動物ですが、あまんちゅで出てくる「ちゃ顧問」は猫という設定になっています。ここに関して「どんな猫なんだよ……」というツッコミを入れるのは、天野こずえ先生の世界観を否定することになるのでそれは行いません。あくまで猫という情報、設定だけを今回の話では使います。

 

これらの前提をもとに、アニメでの描写について気になったシーンを2つ取り上げます。

 

あまんちゅ!の7話で気になったシーン

電車内で見る紫陽

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ぴかりと先生、ちゃ顧問が電車内から見える一面の紫陽花。ぴかりが梅雨の憂う季節を楽しんでいるかがわかる、ぴかりの人間性が垣間見える一シーンだったように感じます。

 

とてもいいシーンなのですが、気になるのは「電車内に猫(ちゃ顧問)がそのまま乗っていいのか」という点です。公共交通機関では基本的に電車内にペットを持ちこむ時にはそれなりのルールがあります。彼女たちが載っている伊豆急にも、同様のルールが存在します。以下、伊豆急のHPからの一部引用です。

 

<有料で持ち込みいただけるもの>

〇子犬・猫・鳩またはこれらに類する小動物(猛獣やへびの類を除く)で、

長さ70センチ以内で、タテ・ヨコ・高さの合計が90センチ程度のケースに入れたもの(頭や手足など一部が容器の外に出るようなものはお持ち込みいただくことができません)。
ケースと動物を合わせた重さが10キロ以内のもの。
他のお客さまに危害および迷惑をかける恐れがないもの。

http://www.izukyu.co.jp/faq/faq_10.html 伊豆急HPより

 

 

原作でもこのシーンは同様にちゃ顧問も一緒にケージに入らずそのまま電車に乗って一緒に紫陽花を見ています。原作のいい雰囲気をそのままアニメに持ち込んでいるようです。いやぁ、確かに良いシーンではあるのですが、ちゃ顧問を何もなしに電車に連れ込んでいいのかなぁ……考えすぎかなぁ。

 

てこのプール練習

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ぴかりたちが紫陽花を見ている時、てこはプールでひとり泳ぐ練習をしています。ダイビングのため泳ぐ練習をしているてこですが、公営のプールのはずなのに水泳キャップをしていないようです。

公営プールでは水泳キャップを被って泳ぐことが義務付けられているところが多く、伊豆高原近くの公営プールももちろんこのルールに則る必要があります。てこちゃんこれは怒られるやつちゃうか……。 

 

これと同じシーンは原作にはありませんが、ダイビング部のみんなで公営プールでダイビングの練習をするシーンは存在します。ここでは姉ちゃん先輩たちが水泳キャップを被っており、アニメのてこのように髪の毛をだらーんとさせていません。ここは完全にアニメオリジナルの描写でしょう。

 

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アニメ2話で、学校のプールでてことぴかりがプールでふたり浮かぶシーンがありました。7話のプールのシーンは、このシーンと同じような表現にしているのかなぁと思ったのですが、ルールを破っても問題なさそうな学校のプールと、原作でもきっちり水泳キャップをかぶっている公営プールはきっちり分けたほうがよかったんじゃないかなぁと思ってしまいました。

 

この2シーンの共通点

この2つのシーンの共通点としては、「アニメは原作に基本的に忠実ではあるが、現実世界では基本的にあり得ない(やってはいけない)光景」です。

前提のところでお話をしましたが、これが仮に「ネオ・ベネツィア」のような世界であれば一切問題はないのかなぁと思っていますが、あまんちゅの世界は「ネオ・ジャパン」ではなく「日本」です。現実世界を沿った形にするのであれば、もう少しあり得る形にすればよかったんじゃなかったのかなとも感じました。ただ、こういう細かな修正をしていると、あまんちゅのような原作のよさは出ないんだろうなぁ……と悶々。

 

 さいごに

設定としてあり得るか、原作に沿っているかという議論はこれからも色々なアニメで出てくることだと思います。このあまんちゅという作品では、現実か(ほんの少し)離れてはいるところがあるが、そこにこの作品の良さがあり、この辺りのバランスが難しくなっていると思っています。*1

 

肩肘を張らずに、気にせずアニメを見ればいいんじゃないの?と言われてしまえばそれでおしまいな気がしていますが、どこか設定などを気にしてしまうのがアニメ好きだったりアニオタの性分だったりするんでしょうね。

というところで、今日はこの辺りで。

 

 

 

*1:原作にはパラレルワールド的な話もあり、現実世界から乖離しているものもあるのですが、ここではそういう議論はなしで