たかみめも

アニメ、ゲームの話や紅茶の話など、日々気になったことをだらだら書いてます

ぼんぼり祭りから感じたアニメ聖地と地域との共存

 

「花咲くいろは」というアニメ作品があります。2011年に放送開始された、P.A WORKSが誇る「お仕事アニメ」の処女作であり、当時は絶大な人気となった作品です。

その作品の中で開かれていたぼんぼり祭りがアニメ舞台のモデルとなった湯涌温泉で開催されてはや6回。今年もぼんぼり祭りが開催されるのを見て、いい感じに続いている祭りになったなぁと感じていました。


そんな中、Twitterでこのような記事を見ました。今までは花咲くいろはのキャラクターが広告にも載っていたようですが、今回の新聞広告では祭りの案内のみのようでした。

これを見たことにより、アニメ聖地としてのひとつのあり方と、地域との共生について思ったことがありました。

 

湯涌温泉協会への質問

今回この記事を書くにあたり、湯涌温泉協会の方へメールで質問をしました。質問の内容は以下の4つです。

 

  1. 2017年のぼんぼり祭りの広告に花咲くいろはのキャラクターがいない理由、経緯
  2. 水害復興から10年だが、何か特別なイベントは考えているのか
  3. 花咲くいろは放送後の湯涌温泉の活性化について
  4. ぼんぼり祭りの来客層の変遷

 

回答として「1、2については回答を控えさせていただく」とのことだったので、ぼんぼり祭りのHPでの案内を待つことになりそうです。(今思うと水害って2008年だから、今年ってまだ10年目なのかな……)


3、4についてはとても素敵な回答を頂いたので、自分の言いたいこと、実データを含めてお話していきます。

 

湯涌温泉の活性化と観光者層の変化

まずは質問3の回答です。

お蔭様で若い層のお客様が大変多くなりました。リピーターの方々も多く何度もお越しいただいております。

 

アニメをきっかけに、若い層の方々がとても多くなったそうです。
ぼんぼり祭り開催時期になると、湯涌温泉の各旅館は予約でいっぱいになるという話を聞いたことがありますが、その時期以外にも観光者が訪れることも増えたのでしょう。

 

以下は金沢市が出した観光客数の推移です。観光客数は2011年の頃から停滞はしているようですが、湯涌温泉には旅館が9つしかないため、大きくは客数は増加しないでしょう。ただ、ぼんぼり祭りの時期の10月の観光客数の変化は見られないという結果は意外でした。(観光統計(1)観光客数に記載されている月別観光客数より)

2015年からは北陸新幹線が金沢まで運行を開始したこともあり、関東圏からの観光者が訪れやすくなったのもひとつの要因のように感じています。実際金沢市には観光客数が年々増加していますしね。

金沢市[千人] 湯涌温泉[千人]
2011 7,618 62
2012 7,942 59
2013 8,239 57
2014 8,442 51
2015 10,064 64

統計表目次(28年度版) 観光統計(1)観光客数より

 

このことから、金沢に宿泊し、湯涌に日帰りで訪れ足湯などを楽しむ若い方が増えたというのが私の推察です。何にせよ、若い人たちが湯涌温泉に興味を持って観光するというのは現地としてはいいことでしょうね。

 

ぼんぼり祭りの地域の根差し

次に質問4の回答です。

理由はいくつかあると思います。石川県民や金沢市内などの地元のお客様が増えたこともあると思いますが
当初はアニメファンの方々が殆どだったのが現在は、ご家族やカップルなど一般のお客様が大変多くお見受けするようになりました。
お客様の中には、アニメから生まれたお祭りだとご存じない方もおられます。
「花咲くいろは」から祭りを知ったのではなく「ぼんぼり祭り」を先に知り、アニメを見られる方もいらっしゃいます。
そういうお話を伺いますと、湯涌のお祭りとして地元に根付いてきたのだな・・と感じます。
また、北陸新幹線の追い風を受けたこともあると思います。

 

花咲くいろはが放送されてから6年が経ちますが、ぼんぼり祭りの来場者数は現在のところ右肩上がりのようです。これも地元の方、県内近隣の方が来るようになった影響でしょう。

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アニメの聖地巡礼、イベント化にはその時々の流行り廃りがあります。特にアニメ放送後でかつ都市圏から遠いところにある場合、廃りのスピードも遅くないでしょう。
その中で地域に根差した祭りづくり、アニメに依存しすぎない祭りづくりがなされた結果が、このぼんぼり祭りの来場者数に出ていると感じています。

 

特に「ぼんぼり祭りを先に知り、アニメを見る方がいる」というところに、ぼんぼり祭りの素敵さと聖地としてのひとつの成功の形を見た気がします。

 

ぼんぼり祭りのここが凄い!という詳細については以下記事を参照してください。ぼんぼり祭りと地域との根ざしに関する分析点がよく書かれていました。

「アニメイベント」から「地元のお祭り」へ。湯涌ぼんぼり祭りのスゴさとは。 : ゲムぼく。

なお今年も金沢市からの予算資料を見ていたのですが、湯涌温泉ってもうすぐ開湯1300年なんですね。ここで大きな祭りでもやるのかなと楽しみに感じています……。

 

アニメ聖地と地域との共生

湯涌温泉とぼんぼり祭りには、アニメ聖地としての姿だけでなく、地域との共生を視野に入れて開催された稀有な例のように思えます。もちろん水害復興の意も込めてぼんぼり祭りの開催に踏み切ったところもあり、最初から地域に根付く祭りを作ろうともされていたことでしょう。

もちろん花咲くいろはを生み出したP.A.WORKSさん、ぼんぼり祭りのために助成金を出している金沢市、お祭りを毎々楽しみにしている古来からのファン、地域の方々の力あっての今の姿でしょう。

 

今年のぼんぼり祭りもうまくいってほしい、そしてこれから地元の祭りとして長く根付いて欲しいという意味を込めて、締めとさせていただきますね。

そしていつか、金沢市のひとつの大きな祭りとして、「5分でわかる金沢の魅力」に湯涌とぼんぼり祭りのことが載るといいなぁなどと思っています。

金沢のイベント|特集-5分でわかる金沢の魅力|おすすめコンテンツ|金沢市公式観光サイト 金沢旅物語