たかみめも

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「午後の紅茶 おいしい無糖」で感じた製品の売り出し方のうまさ

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captured by kirin beverage

私は紅茶が好きですが、ペットボトルや缶の紅茶飲料はほとんど飲まないようにしています。そんな中、ここ最近キリンが出した「午後の紅茶 おいしい無糖」がいい勢いで売れているようです。

この紅茶に関しては多々言いたいことはあるのですが、その中でいいことを取り上げるとすると、売り出し方の上手さだと私は思っています。今日はそんなお話です。

 

 

午後の紅茶 おいしい無糖の味の感想

先ほどペットボトルの紅茶飲料はほとんど飲まないようにしているとは言ったものの、記事にするのであれば飲んで感想を述べないといけないかなというある種の強迫観念に陥ってしまったので、とりあえず飲みました。

飲んだ感想ですが、わかりやすいようまずは端的に箇条書きにした上で、言いたいことを書いていきます。

 

飲んだ感想(概要)
  • すっきりしていて飲みやすいため、色々な層にウケると思われる
  • だけど紅茶の味は"ほとんど"しない
  • 飲むとすると「味わって飲む」より「ぐいぐい飲む」ことが適している
  • そのため、食事時の飲料としてはよさげ

 

感想(言いたいこと)

ペットボトルを開けた瞬間に紅茶(らしい)よさそうな香りがします。ここでほとんどの方はいい紅茶の香りなんて感じると思いますが、これは香料による香りです。無糖、ノンフレーバーのアイスティーはそんなに香りはしませんし、午後の紅茶シリーズは通常紅茶を淹れるときの茶葉の量に比べて非常に少ないので、その香りが紅茶そのものの香りでないことはなんとなく察しがつきます。*1

そのため午後の紅茶ではダージリンらしい香りをフレーバーによってブーストしているわけです。要はドーピングだといいたいところではありますが、世のフレーバーティーだって茶葉に香料を入れているものなので、このおいしい無糖も厳密にはフレーバーティーなのかもしれませんね。

 

で、この香料の量がまた絶妙です。味わってじっくり飲む分には紅茶っぽくない違和感の感じるものですが、ぐいぐい飲む分にはちょうどいいです。

一般の方に無糖の紅茶を飲んでいただく場合には、自分でアイスティーを作って出してあげるかジャワティーを勧めたいところですが、それが適わないときにはこの紅茶をまずは勧めてみるのはアリかと思っています。ただこれは私の個人的な思いであり、蚤安さを考えるとこの製品は一般ウケするんじゃないかなと思っています。

 

この製品の売り出し方の上手さ

こう駄目だしをしたものの、製品の売り出し方自体は間違っていないと思っています。スッキリしていてぐいぐい飲めるため、麦茶などの代わりに喉を潤す男性にウケがいいのかもしれませんね。こういう製品の売り出し方の上手さについていくつか考えました。

 

製品コンセプトとターゲット層の絞込み

この紅茶は東洋経済のこの記事にも書かれている通り、「男性ユーザの取り込み」といったターゲット層の転換と、「食事の際の飲料としての提案」という麦茶やお茶を飲んでいるユーザの取り込みを図ったものです。

toyokeizai.net

 

紅茶のイメージというと、アフタヌーンティーというイメージなどが強いと先日別の記事でお話はしましたが、そのイメージとは反して新しいユーザ層を取り込もうとしている点、そしてそのユーザ層が好まれる嗜好、シーンを絞って製品化できていると考えられます。とは言え、渋みがあまり出にくいような茶葉を選択することで絞り込んだターゲットの中で最大化が図れるような工夫がされています。*2

実は、1997年に無糖タイプの「午後の紅茶」は発売されていた。だが売れ行きは予想よりも低かった。「当初発売した商品は、既存商品の中の無糖タイプという位置づけで、ターゲットはすでに紅茶を飲んでいる人だった。既存の紅茶を無糖にすると渋みが出て飲みにくくなっていた」(西村部長代理)という。
今回は前回の反省を生かし、ターゲットを緑茶やウーロン茶を飲んでいる人に設定。緑茶などと同じようなすっきりした味わいにするために、茶葉には苦味が抑えられるインド産ダージリンを使用した。

「午後の紅茶」―日本に紅茶文化を根づかせたい|飲食品でヒット商品をつくる|J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]

 

しかも今年1月からはそんなシーンにさらに合うよう、リニューアルを重ねられており、無糖紅茶市場に対するテコ入れを本気で仕掛けていますね。

「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」2月16日(火)リニューアル発売|2016年|ニュースリリース|キリン

 

過去に書いた記事はこちらから

9tail.hatenablog.com

 

パッケージの表記

この紅茶には茶葉にダージリンが75%含んでいますが、このパッケージの表記に「手摘みダージリン茶葉使用」と記載しています。キーとなるのはこの手摘みというところを敢えて記載した点です。

紅茶は実験的なものを除き、インド、スリランカでは未だに手摘みがほとんどです。にも関わらず手摘みという言葉を記載していることで、機械で摘んでいない特別な茶葉を使っていますよという感じの主張をしているように感じます。

 

ここで、日本茶はどうなのかが気になったので調べてみたところ、日本茶は機械での収穫がメインで、初摘みの茶葉や機械が入り込めない環境の時のみ手で摘んでいるそうです。日本では手で摘まれているお茶が特別であることから、視覚的なおいしさを狙ってこの言葉を入れたのかなと感じました(ちょっと考えすぎかもしれませんが)

 

CMによる製品イメージの定着化

先ほど製品コンセプトとターゲット層の絞込みについての話をしましたが、このコンセプトのイメージをCMでうまく定着させているように感じました。そう感じた理由は以下の2点です。

 

1点目はCMイメージキャラに嵐の松本潤さんを起用していること。他の午後の紅茶では女優の方の起用がほとんどですが、今回は男性を起用することで、「メインターゲットは男性ですよ」と言っているような気がします。また、嵐メンバーの起用によるファン層の流入も狙っているのかなとも感じました。

2点目は「どんなシーンにも合うよ」とアピールしている点。「オール・マイ・ティー」という若干滑った言い回しではありますが、CMではビジネスマンに扮した松本さんが色々な食事のシーンやビジネスのシーンに合わせてこのお茶を飲むことで、ビジネスの色々なシーンや食事のシーン(特に昼食時)に合うよと提案をしています。この提案の方法は、既存の紅茶のイメージを吹き飛ばすには十分効果があると思われます。

 

最近テレビを見なくなった人が多くなったとは言うものの、テレビ、CMの効果は未だ絶大です。CMによって製品コンセプトを端的に伝えられているという点はお見事だと思っています。 

 

さいごに

飲料メーカの大手であるKIRINさんには午後の紅茶シリーズを通じて紅茶ユーザの拡充を図れるようないい製品をもっと出して欲しいなと思いつつも、本格的に紅茶の味、香りがしっかりしているような製品を出して欲しいなと感じています。

あと、このおいしい無糖の茶葉のブレンドと香料を調整してホット用の製品を出すのはアリだと思うので、ぜひ製品化して欲しいと思う所存です(えー) 

キリン 午後の紅茶 おいしい無糖 500ml×24本

キリン 午後の紅茶 おいしい無糖 500ml×24本

 

 

(この記事はジャワティーを飲みながら書かれたものです)

*1:なお茶葉の量は500mlあたり・・・・・・おっと誰かきたようだ

*2:後々調べてみたら、1997年に緑の缶の午後の紅茶(無糖)が売られていました。そういえばこんなのありましたね・・・・・・。